散文１

誰もいない 私の靴音がこだまして
数分前の私を追い越した

耳を澄ませば 微かな息遣い
数分後の私を予感した

草原で惑う 少女はわざとらしく お辞儀して
汚されることを知らないかのように
穢れなど この世に存在しないかのように

そしてそれは 数年前の私でもあった

靴音がこだまして 現在を追い越していく

穢れなど知らなかった
少女は羽根のない天使


目の前に映し出されたスクリーン
書き留める散文
今からでも
これからでも遅くはないでしょうか

振り返る暇は与えられますか？
靴音がこだまして
私を追い越していく